『人間は弱い』。5月5日の産経新聞コラム「正論」に寄せられた立命館大学教授の加地伸行先生の主張が気になったので、スクラップしておくことにしました。『子虐待の原因は家族崩壊にあり』。
曰く、『戦後日本における個人主義教育は、抑止力を置くべきことを知っていなかった』ことで、健全な状態での個人主義が根付かず利己主義者がはびこる結果となったというのです。欧米には信仰の元に、隣人愛であるとか最高絶対の神の存在であるとか、利己主義の抑止力となる確固たる思想や存在がありました。そこを担保せずに個人主義だけを推し進めた結果が、忌まわしい事件につながっているという指摘です。
加地氏は『東北アジアでは、人間としての道を保持させる抑止力として、各家は自己の祖先を置いた』と述べています。『祖先祭祀(さいし)がその家の宗教となり血縁者の絆となり、祖先から続く生命の連続を静かに、そして確かに体得してきたのである』。そういえば最近は確かに、「ご先祖様に顔向けできない」という言葉や考え方を、ほとんど見聞きしなくなっています。
子への虐待に限らず、昨今の不可解で理不尽な事件の数々は、世のルールとして明文化されていない何らかの道徳観や宗教観が、どこかでぷっつりと途切れてしまったことで起きているのかもしれません。