Bitcoinのスケーラビリティ問題の不透明感からか、それともアルトコイン独自の要因なのか、足元ではZcashも高騰しています。2017年4月2日現在は1ZECが$61前後と、前回記事を掲載した2月下旬と比べるとおよそ倍になっています。あらためてパソコンでのZcashマイニングと電力の関係を紹介してみます。
HPのワークステーションZ220にPSU(電源ユニット)を追加して、NVIDIAのビデオカードを5枚盛りで稼働させてみます。Z220に5基あるPCIeスロットを全て使い切ります。
今回も掘削力が魅力のマイニングソフトウェアEWBF’s Zcash cuda minerを使いますが、最近のバージョンアップ(0.3.3b)で消費電力当たりのハッシュレートをリアルタイムで表示できるようになり、たいへん便利です(–pecオプション)。
このソフトウェアは開発フィーを回収するために別のプールにも時々つなぎにいくので(–feeオプション)、それに同意しているか否かの違いがあるだけでマルウェアと同じ挙動をします。ご自身で結果に納得される場合のみお試しください。
■EWBF’s Zcash cuda miner
https://bitcointalk.org/index.php?topic=1707546.0
ex.
miner.exe --server asia1-zcash.flypool.org --port 3333 --user t1dYEYgxd3VVoeE86tK4ZSGEYGKs1h96Xnf.4pizza --pass z --cuda_devices 0 1 2 3 4 --solver 0 --eexit 2 --log 1 --fee 2 --pec --templimit 80
GPU0: ZOTAC GeForce GTX 1070 Mini 8GB
GPU1: MSI GeForce GTX 1050 Ti 4GT LP
GPU2: ZOTAC GeForce GTX 1060 Mini 3GB
GPU3: ZOTAC GeForce GTX 1070 Mini 8GB
GPU4: ZOTAC GeForce GTX 1070 Mini 8GB
GTX 1070が3基、GTX 1060 3GBが1基、GTX 1050 Tiが1基です。そのまま動かすと750W超の電力消費があります。去年はEther採掘にAMDのGPU8基を2000W超で動かしていたことを思い出します。
平均をとるほどの厳密さもいらないでしょうから、瞬間的に拾った数字をCalc.にかけてみました。今のZECの価格が維持されるならこれでも利益がでる水準です。ただし採掘の難易度も収益性に影響するので、価格のみでは比較できないことにも注意です。
■Zcash Mining Profitability Calculator
https://www.cryptocompare.com/mining/calculator/zec
さて、ビデオカードの消費電力を60%に抑えて稼働させてみます。一般にはその方が効率は上がるようです。GTX 1050 Tiのみ設定可能な下限の70%にセットしています。リミッターをかけただけだとかなりのパワーダウンになりますから、適当にGPUクロックを引き上げます。
メモリクロックはそのままです。いろいろ試してみた結論として、メモリクロックの調整はハッシュパワーにも消費電力にも影響が少なかったためです。
システム全体の消費電力が460W程度とほぼ設定どおりに約40%減少しました。しかしながらハッシュレートは1500Sol/sを少し下回る程度ですから、10%程しか低下していません。
パワーを抑えることで採掘量も減りますが、年間で$700程の電力コストが抑えられることで利益がより出やすくなります。
ところでGTX 1060 3GBについては、パワーリミットを50%に抑えてGPUクロックを250MHz引き上げると、4.00Sol/WというGTX 1070並の高能率で稼働させられます。採掘の絶対量はGTX 1070に敵いませんが、ランニングコストが低いのは魅力です。
GTX 1060 3GBは導入コストもGTX 1070の半額に近いです。普段使いのPCに空きスロットがあれば挿して回しておくのも愉しいかもしれません。