Windows PCでEthereumを採掘する 2017夏

春からの暗号通貨価格の高騰でにわかに注目が集まっているGPUマイニングです。昨年はAMD Radeon延べ10基を使って、サウナのような暑さの中でEtherを掘っていましたが、今では環境が一変しました。Polarisの登場で省電力化が一気に進みましたし、PascalアーキテクチャのGeForceでも実用的なハッシュレートが出るようになりました。

■(参考)Windows PCでEthereumを採掘する(2016春)
http://kumasai.nonkimono.com/2016/05/14/mining-ethereum-winpc/

そこで今回はNVIDIA GeForceでのEther採掘実例を紹介します。消費電力が低いわりに好ハッシュレートが出ますのでPolarisとも充分に戦えます。OSはWindows 7 Professional SP1 64bit、ビデオドライバは2017年6月9日時点での最新版382.53WHQL、プールとマイナーは昨年同様にethermineとGenoil’s forkを使います。

■ethermine.org
https://ethermine.org/

■Ethereum miner with CUDA and stratum support
https://github.com/Genoil/cpp-ethereum/tree/master/releases

このマイナーはstratumをサポートしており直接プールにつないでも充分な性能が出ますが、eth-proxyを介した方がわずかによい結果が出るようです。eth-proxyもethermineのサイトからダウンロードできます。設定についてもethermineのページに必要充分な例示があります。eth-proxy.confの設定例です。

# Host and port for your workers
HOST = "127.0.0.1"
PORT = 8080

# Coin address where money goes
WALLET = "0x1DE0b512435713Ec6506bA2376c4E5B7E79760e3"
# ( SET YOUR_WALLET_ADDRESS !!!)

# It's useful for individually monitoring and statistic
ENABLE_WORKER_ID = True

# On a Pool you have option to monitor your workers via email.
# If WORKER_ID is enabled, you can monitor every worker/rig separately.
MONITORING = True
MONITORING_EMAIL = "eth@nonkimono.com"
# ( SET YOUR_EMAIL_ADDRESS !!!)

# Main pool
POOL_HOST = "asia1.ethermine.org"
POOL_PORT = 4444

# Failover pool
POOL_FAILOVER_ENABLE = False

ご自身のウォレットやメールアドレスに書き換えてくださいませ :-)

ethminerからeth-proxyを参照しますから、eth-proxyを先に起動します。

cd "C:\Program Files\eth-proxy"
start /min "eth-proxy" eth-proxy.exe

timeout /t 10

cd "C:\Program Files\ethminer-0.9.41-genoil-1.1.7"
ethminer.exe -U --cuda-devices 0 1 2 3 4 --farm http://127.0.0.1:8080/RIG_NAME --farm-recheck 500

環境変数の設定は不要です。–farm-recheckは短めの200msとしている設定例が多く見られますが、まずは標準の500msを試すのもよいと思います。長めにした方がハッシュレートのばたつきが抑えられます。レートが平準化してもそれで平均速度が改善するとは限りませんし、あまりチェック間隔をあけるとstale(機会損失)が増えてしまいますので調整してみてください。

OCed, PW limited

パワーを60%(90W)に抑えたGTX 1070で25MH/s、同じく50%(60W)まで抑え込んだGTX 1060 3GBでも18MH/sのハッシュパワーがありますから、ランニングコストの低さは抜群です。

GTX 1070 3x, GTX 1060 3GB 2x, Ave over 111MH/s

トラブル対処スキルがあれば、マシンもオークションや個人輸入でかなり安価に入手できます。参考までにこのマイニングマシンの導入コストを紹介します。税や送料を含んだ総支出です。

  • HP Z220 Workstation Xeon E3-1225 v2 メモリ破損 HDD無 OS無 ジャンク ¥14,600-
  • ECCメモリ8GB ¥4,600-
  • 電源700W ¥3,800-
  • HDD 使用済みノートPCより転用 ¥0-
  • OS Windows 7 Pro 本体貼付COAラベルより再認証 ¥0-
  • GTX 1070 8GB 平均¥39,900- 3基
  • GTX 1060 3GB 平均¥21,400- 2基
  • バスエクステンション他、雑パーツ 計¥10,000- 程度
リボンケーブルやエクステンションを利用してカードを5枚搭載

合計して195,500円也。およそ16万円をしめるビデオカードがいずれ6割程度の価格ででも売却処分できれば、約10万円のデポジットが回収できます。

暗号通貨マイニングには旬があります。暑い夏を涼やかに乗りきりましょう。

追記:

Windows 10マシンでは普段はZcashを掘っていますが、この機会にEtherのマイニングも試してみました。Windows 7と比べて長時間になると動作が今ひとつ安定しなかったのですが、結論としてeth-proxyを停止させました。ethminerは–stratumオプションがありますから直接プールにつなぎます。

rem cd "C:\Program Files\eth-proxy"
rem start /min "eth-proxy" eth-proxy.exe

rem timeout /t 10

cd "C:\Program Files\ethminer-0.9.41-genoil-1.1.7"
ethminer.exe -U --cuda-devices 0 1 --stratum asia1.ethermine.org:4444 -O 0x1DE0b512435713Ec6506bA2376c4E5B7E79760e3.RIG_NAME:eth@nonkimono.com

メールアドレスのセパレータはスラッシュ[/]ではなくコロン[:]です。

GTX 1060 3GB 2xで稼働中
CPUでMonero(XMR)も採掘しています

最後に。マシン導入コストは機材を売却することである程度が回収できますが、消費した電気料金はそうはいきません。運転資金にも目配りをしながら採掘場の経営を愉しんでください。