社会人生活の原点


 連休を利用して読み返しているのが、デール・カーネギーの「人を動かす」と「道は開ける」です。およそ20年ほど前に私の人生初の就職が決まった時、何かためになる本を教えてほしいと同級生に聞いたところ、勉強法や書籍に詳しかった彼が勧めてくれたのがこれらです。 

 あまりにも有名すぎていまさら紹介する必要もないでしょうか。今読み返してもその内容は古びず、むしろ対人関係が希薄化したり個の権利主張ばかりがまかり通ったり、また不可解ともいえるせい惨な事件が多い今こそ、たくさんの人に読んでほしい本です。
 説かれているのは普遍的な事柄ですから、どのような立場の人が読んでも何かの気づきがあると思います。

 最近刊行される自己啓発本は、エッセンスをシンプルにまとめてあり手軽に読めるものが多いようです。私もぶれかけた自分自身の気持ちを修正するために、サプリメントのように活用しています。
 それに対してこれらのカーネギー本の優れているところは、それぞれのテーマについてのリアルなドラマが詳細に書かれてあって、人の心が動いたその瞬間に感情移入できることにあると思います。書籍の中で一度疑似体験をすることで、現実の生活でも応用できる可能性が高まるのではないでしょうか。

 ただ、今こうして読み返してみると、「知っていること」と「実践すること」の大きなギャップを再認識してしまいます。本に書かれているような場面で、冷静に自己を振り返ることができる人とできない人の差が、人生の質の差になってしまうのでしょう。
 読みたいときにすぐ手に取れるよう、文庫版のハンディーカーネギー・ベストも最近買いました。曰く、「読む本」ではなく「案内書」、すなわち「実践する本」だからなのです。どうか「買う本」や「積む本」で終わらぬように。