広告の品位

 祭壇などを撮影した巨大な写真看板を何枚も、こうこうとライトアップして掲げている葬儀社があります。自立看板のほかにも斎場の外壁を端から端まで使って宣伝がされていて、その建物の中でしめやかに営まれるはずの葬儀の印象を乱します。パチンコ店のような娯楽施設と見まがう広告手法です。
 妻との共通した感想は「品格がない」。カタログやチラシなどで見られれば十分な内容を、往来の多い公道に向けてでかでかと常設している感性が信じられません。しかも総合病院のすぐそばで。
 その会社は新聞広告でも「葬儀社を志したのは我が子の死がきっかけ」のようなことを載せているのですが、その想い自体は尊いですし他人が語れば美談にもなるかもしれませんが、聞かれもしないうちに自分からしゃべるのは卑しくはありませんか。

 われわれ夫婦にはどうも不愉快に感じられる営業姿勢なのですが、街の人たちはどう思っているのでしょうか。

 葬儀は死人一人につき一回のみでリピーターはありません。だから印象に残って一度だけ選んでもらえば儲けもの、ですか。